AED・一次救命処置とは

  1. トップページ
  2. AED・一次救命処置とは

AEDの効果と必要性AEDの効果と必要性

我が国における心臓突然死

いつどこで起きるかわからない「心臓突然死」

我が国における心臓突然死

普通の生活をしていた人の心臓が突然止まり亡くなってしまう「心臓突然死」は、いつどこで起きるかわかりません。その中でも、心臓に原因があり突然心臓が止まってしまう「心原性心停止」の件数は、国内で年間7万人を超えているといわれています。なんと毎日約200人が亡くなっている計算になります。交通事故で亡くなる方が年間約4000人ですから、いかにその数が多いかがわかります。
心臓突然死のリスクは年齢が上がるごとに高くなり、特に中高年男性の心臓突然死の件数が多いものの、当然若年層や女性にもそのリスクはあるとともに、小学生や中学生が心臓突然死で亡くなった例も少なくありません。現に学校での突然死は毎年300件以上発生しており、そのうち80%が心臓突然死といわれています。
心臓突然死の原因の中には、心臓がけいれんして血液を送り出すポンプの役目を果たさなくなった状態である「心室細動」という致死性の不整脈によるものが多く、その心室細動となった人を救うべく普及が進んでいる医療機器が「AED」です。

AEDの効果

医学的な知識が少ない一般市民でも人を救うことが可能です

AED(Automated External Defibrillator)は、日本語では「自動対外式除細動器」といい、心室細動が発生している傷病者に対し電気ショック(除細動)を行い、けいれんを取り除いて心臓の正常な動きを取り戻すための処置を行う医療機器です。
AEDは電源を入れると操作を示す音声ガイダンスが流れるため、それに従った簡単な操作を行うだけで使用できますし、AEDが傷病者の心電図を解析して電気ショックを与える必要があるかどうか(心臓がけいれんしている状態かどうか)を判断するので、医学的な知識が少ない一般市民でも突然の心停止(※)に陥った人を救うことが可能です。

※「心停止」とは、心臓のポンプ機能が有効に機能しなくなった状態をいい、心臓の動きが止まった場合(心静止)、心電図上は波形があるが脈が触れない場合(無脈性電気活動)、心臓がけいれんしている場合(心室細動)、心臓が速く動きすぎて空打ちの場合(無脈性心室頻拍)があります。このうちAEDの電気ショック(除細動)の効果があるのが「心室細動」と「無脈性心室頻拍」の2種類です。

心室細動とは?

心臓

心臓を動かしている電気系統(心臓の筋肉の一部から発信された微量の電気が伝わるしくみ)が何らかの原因で混乱すると、リズミカルな収縮が行えなくなります(不整脈)。その不整脈の中でも、とくに心臓の血液を全身に送り出す場所(心室)がブルブル震えて、血液を送り出せなくなった状態を「心室細動」といいます。
この心室細動が起こると重要な臓器にも血液が行かなくなり、やがて心臓が完全に停止して死亡してしまうとても危険な状態です。心臓突然死の多くは、この心室細動によるものといわれており、心室細動の唯一の効果的治療法が電気ショック(電気的除細動)なのです。

市民によるAEDの使用

迅速な救命処置がカギ

市民によるAEDの使用(除細動実施)症例の生存率は、未実施の5倍!
AHA心肺蘇生と救急心血管治療のための国際ガイドライン2000」及び「平成26年版救急・救助の現況」をもとに作成

特に、倒れた瞬間を周りに居た人が目撃している心原性心停止の場合、周りに居合わせた人たちが迅速な救命処置を行えば、倒れた方が社会復帰できる可能性は、何もせずに救急車を待った場合に比べて大きく向上します。
現在、救急車が通報を受けてから現場に到着するまで全国平均で8分以上要していますが、電気ショックが1分遅れるごとに7~10% ずつ助かる可能性が低くなるといわれており、現場に居合わせた市民が迅速にAEDを使用して電気ショックを行うことが強く望まれました。そのため平成16年(2004年)7月に救命の現場に居合わせた市民によるAED使用の取り扱いを厚生労働省が示し、以降駅や空港などの人が多く集まる場所を中心にAEDが急速に普及しました。
なお、一般市民がAEDを使用するにあたっては講習を受ける義務等はなく、いざというときには誰でも使用することができます。

(業務の特性上、救命処置を行う責任がある方の取り扱いについてはこちらをご覧ください)
一次救命処置を行う職務上の責任がある方へ

胸骨圧迫の効果と必要性胸骨圧迫の効果と必要性

胸骨圧迫の必要性

必要なのは「脳へ酸素を送り続ける」こと

心停止となり血流が止まると、全身への酸素や栄養の供給もストップしてしまいますが、体の中でも特にダメージを受けやすいのが脳です。脳の細胞は血流が停止してから3~4分でダメージが発生し、一度ダメージを受けた細胞は元には戻らないため、救急隊が到着して処置を行い一命は取りとめたとしても、後遺症が残ってしまうおそれがあるのです。
そのため心停止の際には「胸骨圧迫」(以前は「心臓マッサージ」と呼んでいました)をできる限り早く開始し、脳へ酸素を送り続けることが必要なのです。

AEDと胸骨圧迫の関係性

胸骨圧迫も行うことが必要不可欠

AEDによる電気ショックは心臓のけいれんを取り除くために行うものであり、脳などに酸素や栄養を送る効果はありませんので、傷病者の社会復帰のためには胸骨圧迫も行うことが必要不可欠なのです。
他方で、心臓のけいれんは放置すれば時間経過とともに弱まり、やがて電気ショックの効果がない状態(心臓が完全に止まった状態)となってしまいますが、質の高い胸骨圧迫を絶え間なく行って心臓に酸素や栄養を送り続け、けいれんを持続させておくことにより、電気ショックが成功する可能性を高めます。また、電気ショック実施後すぐに心臓が元の動きに戻ることは少なく、心臓が正常な動きを取り戻すまでの間も、血流を作るために胸骨圧迫を行う必要があります。
AEDを用いた救命処置は、AEDのみで行われるものではなく、胸骨圧迫との組み合わせによって成り立つものなのです。

迅速な除細動のみならず質の高い胸骨圧迫の実現をサポートする「ZOLL AED Plus」を東海警備は皆様にお届けします!

倒れた人を発見したら倒れた人を発見したら

救命の連鎖

急変した傷病者を救命し、社会復帰させるために必要となる一連の行いを「救命の連鎖」といいます。
現場に居合わせた市民はすぐに119番通報を行って救急車を呼ぶとともに、救急隊や医師に引き継ぐまでに症状を悪化させないために行う処置である「一次救命処置」(BLS:Basic Life Support)を実施することが望まれます。
ただし「救命の連鎖」の一つ目の輪は「心停止の予防」です。成人であれば急性心筋梗塞や脳卒中などの初期症状に周りの人が気付いて心停止に至る前に治療を受けさせること、子どもの場合や窒息や溺水などの事故を防止して、心停止を予防することがうたわれているのです。

倒れている人を発見したら

人が倒れた際には、迅速に心停止かどうかを判断し、心停止と判断したならば効果的な心肺蘇生法を直ちに行い、AEDが到着次第AEDもあわせて使用します。

救命処置を行った際に何か責任を問われることは???

心臓 善意で救命処置を行ったものの傷病者が亡くなった場合や、胸骨圧迫により肋骨を折ってしまった場合などに責任を問われる心配をお持ちの方もたくさんいらっしゃるかと思いますが、市民が善意により行った救命処置はたとえ結果が悪いものとなってしまっても、悪意や重過失がない限り刑事、民事ともに責任は問われないと政府が文書で発表しています。(平成16年7月1日・厚生労働省「非医療従事者による自動体外式除細動器(AED)の使用のあり方検討会報告書」にて)
しかし最近、「市民が救命のために女性傷病者の服を切ろうとしたところ、周りに居合わせた人に痴漢だと通報された」などの話題がSNS等で取り上げられることもあり、市民による一次救命処置に関する正しい知識の普及が望まれます。
なお、医療の専門家ではないにしろ、職務上一次救命処置を行うべき立場にある方(警備員や学校教職員、介護職、公共施設関係者、スポーツ指導者など)は、その職務の特性上社会から期待されている程度の対応ができなかった場合には責任を問われてしまう可能性があるということを、そのような職業の方々は十分ご承知おきいただき、必要なトレーニングを受けるなどいただくようお願いします。

このページのトップへ